2007年03月07日

弾ぎれ?

喫茶店をやっているとだいたい、お客様でその筋の方はいるものだ。

横須賀で珈琲館をやっている時も何人かいた。

店が出来立ての頃は親分らしき人が10人くらいの人を引きつれてやって来たが

さすがにその時は物々しい雰囲気だった。

しかし、店がチェーン店で入りびたりになれないと分かると

自然にそういう方も少なくなってきた。

お陰様で過去の店においても、その筋の方は

優しい人ばかりであった。

横須賀のお店にも1日、2回も3回もいらっしゃる人がいた。

誰が見ても、どこから見ても分かる人相である。

黙っていると本当に怖い顔なのだ。

アルバイトの子は必ず始めはびくびくしながら接客に行く。

ところが、普通の人より、優しい人なのだ。

誰もがそのギャップに驚くのだが顔を見るかぎり仕方ない。

武士が怒ったような顔をしている。

話しているうちに優しい心を持つ人だとすぐ分かる。

本人曰く、

『若い頃、本当は喫茶店と花屋さんが一緒になった店を持つのが夢だったんだ』

心の優しさを見ると納得できる、しかし、

『顔がこの顔だろう、どこ行ってもそう見られるし、

どこ行ってもスカウトされるんだよ、どう間違ったか

今ではこの顔を効かして借金の取り立て役だ』

よく、役者でもこの顔だから悪役なんだって人がいるが

あれと一緒ということか。

役だったらどれだけ良かったかと本人が一番思っているかも知れない。

そっちのスカウトの方が先に来ていれば・・・

でも、私が思うにもし、花屋さんをやっていたなら

自然と優しい顔になっていったのではないだろうか。

神様のいたずらとしか思えない。

その人のこんなエピソードがある。

私が接客に行った時のことである。

『あっ、そういえば店長、俺、タマきらしているんだ』

『タマ?』

『あっ、ちゃうちゃう、豆だ!コーヒー豆だ、つい癖でタマって言っちゃったよ』

コーヒー豆を買って家で自分で入れているのだ。

かる〜いコーヒーが好みだった。

私はその時、思った。

『いくら優しくても、その世界の人だから持っているんだ

それでつい、弾(タマ)を切らしていると言ったのだ。

いわゆる、ハジキと言うやつだ。

『怖っ!やっぱりはむかってはいけないぞ』

丁重に好み通りのコーヒーを入れてあげて

丁重にお買い上げの豆を挽いてあげて

最良の接客でもてなした。



そして、その日の夕方、二度目の来店だ。

若い男を連れてきた。『兄貴!』と呼ばれている。

私の頭の中から「弾切れ」が離れない。

『いらっしゃいませ!』

『おぅ、いつものふたつ。そんでさぁ』

おしぼりを受け取りながら、そっけなく注文すると、ふたりの会話に戻った。

なにやら、真剣な話だ。


『お待たせしました』

返事もなく、話ははずんでいる。

『そんでさぁ、いいとこでタマ切れしちゃてさぁ』

「出た、また弾切れの話だ。そんな大きな声で話しちゃダメだよ」

私の目くばせにもおかまいなく、大きな声で話している。

いつものコーヒーを出しながらヒヤヒヤ気分で話を聞いていた。

しばらくして

「えっ、んー?あれ?あっ、あ〜っそう。そう言うことかぁ〜」

なんと『弾切れ』ではなく『玉切れ』だった。

そう、大好きなパチンコでいいところで玉が切れたらしい。

『どっひぇー』私の顔面に百発の弾丸が打ち込まれた。

顔が真っ赤になっているのが分かる。

そして、カウンターに戻った私は心の中で笑いが止まらない。

『なんたる、早とちりだ』

てっきり、その顔には『弾』しかないだろうと思ったのだ。

人を見掛けで判断してはいけないと誰かも言っていただろが。

私がパチンコを一切やらないものだから思いもしなかった。

『すみませんでしたぁー!』

心の中で深々とおじぎした。


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弾ぎれ?
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